炎のメモリアル

家庭で取り組むことができる火災の予防策

火災は、炎に包まれるその恐怖と破壊度合いから私たちが最も恐れる災害の一つです。
平成29年、1日当たりの出火件数は108件。死者は4人となっていて、火災の恐ろしさを物語っています。

参照:平成30年版 消防白書:1日当たり及び1件当たりの火災の状況

火災の多くはタバコの不始末やコンロの消し忘れ、放火などの人為的な理由で起こりますが、地震や雷、火山の噴火などの自然災害を原因とする場合もあります。これらの火災を未然に防ぐために、どのような対策を行うべきなのでしょうか。
今回は、家庭で取り組むことができる火災の予防策を紹介していきます。



火災を防ぐためにできること

自宅で火災が発生した時、対応の速さが生死を分かつと言っても過言ではありません。そのため、自宅には住宅用防災機器を設置することが重要です。
特に、大規模な地震が発生すると広範囲で火災が起こります。地震などの自然災害は突然襲ってきますから、常に備えておくことが大切です。
ここでは、火事を防ぐためにできる具体的な対策について詳しく説明します。

住宅用火災警報器


住宅用火災警報器は、火災の初期段階を検知して音によって警報を発してくれる装置です。これにより、寝ている間でも火災の発生を即座に認識し、適切な行動を取ることが可能となります。
2006年の消防法の改正以降、全ての新築住宅への設置が義務付けられましたが、未設置の家庭も多くなっています。罰則がないとは言え、住宅用火災警報器は命を守る大切な装置ですから、設置することを強く推奨します。


感電ブレーカー


地震発生時の火災原因の一つである「電気」を遮断することができる装置です。
震度5以上の地震を感知して、ブレーカーやコンセントの電気供給を停止します。自宅や近隣住宅等への延焼を防ぐことができる装置ですが、現在一般家庭に感震ブレーカーの設置義務はありません。地震発生時の出火防止に大変役立ちますので、設置しておくことをおすすめします。


住宅用スプリンクラー


火災発生を感知し、スプリンクラーから水や消火剤を放出することのできる装置です。居室に広がった火災を消火または抑制することができます。
特に初期消火に効果的で、火を沈めてくれるのはもちろん家庭内の火災を早期に抑制することで、財産損害を最小限に抑えることが可能となります。


私たちができる火災予防は、日常生活の安全と安心に直結しています。そのため、これらの設備の適切な利用や設置を通じて、火災のリスクを最小限に抑え、我々自身と大切な人々の命を守ることが重要です。



もし火災が発生したら・・・初期消火が重要!

日々生活を送る中で、常に私たちは火災のリスクと隣り合わせであることを忘れてはいけません。突然火災に遭遇した際、最も重要となるのが「初期消火」です。
この初期消火とはどのようなものを指すのでしょうか?
初期消火とは、言葉の通り「火災の初期段階で消火する活動」のことを言います。出火して時間が経っていない状態、つまりまだ火が広がっていない段階で消火活動を行うことによって、火災が広がる前に鎮火させたり、大規模になることを防いだりすることができ、人命と財産の保護を果たすことが可能となります。

この初期消火で役立つ道具が消火器です。火災の初期段階であれば消火器を用いて自力で火を消すことができます。
様々な種類の消火器が存在しますが、一般家庭では粉末消火器が一般的です。粉末消火器は取り扱いが容易で、油火災や電気火災にも使用可能であるため、家庭における予期せぬ火災への対策として最適です。
また、初期消火を行う時は、火事を周りに知らせることが重要。「火事だー!」と大きな声で叫び、周囲の人に知らせましょう。その際、119番を促すことができれば声かけを行い、次に消火器を使って消火活動を試みる、という流れです。

消火器の使い方


@消火器を運ぶ
上部についているレバーの下側だけを持って、消火器を運びましょう。

A安全栓を抜く
必ず風上側に立ち、黄色い安全栓を抜きます。

B消火剤を放射する
レバーを握って放射します。この時、炎全体ではなく火元を狙いましょう。


以上の操作を間違えずに行うことで、自身で火災の初期消火を行うことが可能となります。
ただし、いかなる場合でも自身の安全が最優先。火災が大きくなっている、炎が天井に届くようになっている、という場合は、すぐに屋外へと避難すべきです。それ以上消火活動を続けると、自身が逃げ遅れてしまう恐れがあります。「引き際を見極めることも重要」だということを忘れないようにしましょう。



火災に遭遇した時の対処法

実際に火災に遭遇した時は避難することが先決。火災が発生すると、炎は時間と共に広がり、命が危険に晒されます。
「大丈夫だろう」「どうせ誤報だろう」という考えは捨て、素早く行動しましょう。
火災の死因は、火傷に次いで煙に多く含まれている「一酸化炭素中毒」や「窒息」が多くなっています。実は、炎が広がるスピードよりも煙が広がるスピードの方が速く、煙が拡散する速さは垂直方向が毎秒3〜5m。並行方向が毎秒0.3〜0.8mとなっています。
火災で発生した煙は天井に溜まり、徐々に下に降りてくるのが特徴で、一酸化炭素を吸い込むと意識を失い、最悪の場合命に関わります。
高い位置にある煙は高温のため、触らない。避難する時はしゃがんで匍匐前進に近い体勢になり、鼻や口をハンカチ等で覆うなどして避難しましょう。可能であれば、湿らせたハンカチを使うと、より煙の侵入を防ぐ効果があります。

ここまで火災の対処法を紹介してきましたが、火災発生時に冷静さを保つことは容易ではありません。実際の火災時にも冷静に対応するためには、火災に対する心構えが非常に重要となります。
次に、火災に対する心構えについて見ていきましょう。



火災に対する心構え

火災が起きた時に最も重要なことは、あらかじめ適切な準備と知識を持っておくことです。
自宅だけでなく、学校、職場など頻繁に訪れる場所はもちろん、利用する建物全ての避難経路を確認しておきましょう。
避難経路は、非常口の位置を把握するだけでなく、出口までの道のりや、扉の開け方を具体的にイメージすることも重要。もしもの時、パニックにならずに素早く行動するためにも、避難経路を頭に入れておきましょう。

しかし、気を付けるべき災害は火災だけではありません。地震や津波、台風など、自然災害によっても人々の命や財産が脅かされます。これらの災害に対しても、事前にリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。

現代では、スマートフォンを活用して災害情報を手に入れることが可能です。各地の気象情報や地震速報、避難情報などを提供するアプリやサイトが多数存在していて、これらを活用することで緊急事態の際に迅速かつ適切は行動がとれるようになります。

参考:防災安全check

防災は一人ひとりの小さな心構えから始まります。日ごろからの準備と意識が、私たち自身と周囲の人々を守る大切な一環なのです。